道民のATM
PROJECT STORY 02
サービス開始までの秘話と、
その後も続く飽くなき挑戦

OUTLINE

北海道銀行は2024年7月、北海道のご当地コンビニであるセイコーマートに北海道銀行のATMを設置することを発表しました。約600台ものATMを活用することになる一大プロジェクトの始まりです。

セイコーマート内に設置されたATMは「道民のATM」と命名されました。事務フローの検討、システム開発、キャンペーンの企画と、多様な仕事が押し寄せます。サービス開始までの舞台裏と、開始後も続く取り組みについて紹介します。

PROJECT MEMBER

2008年入行
営業統括部 営業統括室 調査役
加藤

小樽支店、美香保支店、総合事務部を経て、2024年7月から営業企画部。2025年6月の組織変更により現部署名となる。学生時代ロシアに留学した異色の経歴を持つ。

※所属部署・掲載内容は、取材当時のものです。

CHAPTER 01
ATM稼働に必要となる裏側のオペレーションを固める。

 北海道銀行の営業面の課題の一つは、ATMをどこに何台設置するかです。広大な土地が広がる北海道だけに、全ての地域に店舗・ATMを設置するのは現実的ではありません。そこで、さまざまな金融機関と提携する形で、お客さまが便利にATMを使っていただけるように努めてきました。
 そんな背景があるなかで、道内最大手のコンビニエンスストアであるセイコーマートさんが、店内に設置するATMを更改することとなりました。北海道銀行はこの情報に鋭く反応しましたが、もとより他の銀行も黙っていたわけではありません。すぐに熾烈な提案合戦が始まりました。
 こうした提案合戦が行われる一方で、実際にパートナーに選ばれた場合の検討が内々に進められました。総合事務部に所属していた私も、この検討メンバーに加わりました。従来、セイコーマートさんには他社のATMが設置されていましたが、当行では初めて小型ATMを開発し、管理・運営まで行う必要がありました。ATMを稼働させるためには、万一、不具合が起きた時に、誰がどのように対応するのか、その仕組みを整える必要があります。もちろん、システムも開発しなければなりません。こうしたATMの稼働を支える裏側のオペレーションをしっかり固めておかないと、サービス開始時に大混乱を招き、ATMを利用されるお客さまやセイコーマートさんにご迷惑をかけることになってしまいます。ATMの管理会社や警備会社、システム開発チームなどと連携しながら、稼働の裏側をしっかり支えるスキームの構築に汗を流しました。

CHAPTER 02
華やかな記者発表に立ち会い
社会への影響と責任の大きさを痛感。

 熾烈な提案合戦を勝ち抜き、北海道銀行はセイコーマートさんの店内にATMを設置するパートナーに選ばれました。何度も提案を練り直し、ようやく選んでいただいたのです。一方、私は総合事務部から営業企画部(当時)への異動を命じられたのですが、異動初日の仕事は記者発表の行内決裁を得るための手続きを取ることでした。自分が裏側を支えるために奔走してきたプロジェクトが、いよいよ表舞台に立つことになったのです。いささか興奮するというか、武者震いするような気持ちでした。
 2024年7月、北海道銀行は株式会社セコマとともに、道内の株式会社セイコーマート約600店舗に、順次、自行のATMを設置していくことを発表しました。このATMは「道民のATM」と名付けられました。このネーミングは、セイコーマートさん側から提案されたものですが、北海道銀行としても大歓迎のものでした。それにしても、600台という数は大変な規模です。何しろそれまで北海道銀行が設置していたATMは約650台ですから、一気に倍増することになります。
 そして記者発表会当日、私も関係者として片隅で見守っていたのですが、テレビ、ラジオ、新聞など多くのメディアの方に取材に来ていただきました。カメラの放列、取材陣の熱気を目の当たりにして、恥ずかしながら、この時初めて、自分の関わっているプロジェクトが、こんなにも世間から注目されているものなのかと驚きました。それまでATM設置のための裏側を支える仕事ばかりやってきたので、華やかな舞台に慣れていなかったこともありますが、改めてこのプロジェクトが社会に与える影響の大きさと、それに対する責任を痛感する機会となり、忘れがたい光景として脳裏に焼き付いています。

CHAPTER 03
地道な設置作業をつづけ
利用促進のキャンペーンも仕掛ける。

 サービス開始の数日前、じつは公表することなく、とある店舗にATMを設置して、お客さまに実際に利用していただき、密かに稼働テストをしました。そこで問題なく稼働することを確認したうえで、正式なサービス開始日を迎えたのです。
 設置を進めながら、システム上の初期不良への対応も必要でした。600台もあるので、1日に全て設置することなどできません。1台設置するごとに、正しく作動するか確認する必要があるからです。1日に10台設置といった日もあって目の回るような忙しさでした。一方、北海道銀行は毎月、リリースを出して「道民のATM」の設置台数を公表していました。「道民のATM」がどこに設置されたのかを周知する意味と、「どんどん増えていますよ」というアピールの意味を込めて、ホームページやアプリも使いながら、きめ細かく情報発信に努めたのです。
 他方、「道民のATM」の利用促進に向けたキャンペーンも、セイコーマートさんと共同で始めました。「道民のATM」を利用すると、抽選によりセイコーマートさんで販売している商品がもらえる、といったものです。口座開設が増える時期などタイミングを見計らって、何度かキャンペーンを仕掛けました。利用喚起を目的とした動画も制作しました。

CHAPTER 04
若年層への更なる訴求のため
プロモーションに知恵を絞る日々。

 「道民のATM」は、北海道銀行が自行の店舗に設置しているATMとほぼ同様の使い方ができます。2025年1月には、「道民のATM」における「道銀ATMカードローン」機能の追加を発表しました。
 「道民のATM」が道内の各地に店舗のあるコンビニに設置されたことで、お客さまの利便性は間違いなく向上したといえるでしょう。セイコーマートさんにとっては、店舗利用客の利便性向上により、買物機会の増加につながります。そして、当行にとっては、プレゼンスの向上につながりました。お客さまが利用する銀行を選ぶ理由の一つは、生活圏内に店舗やATMがあることです。人口の規模から考えて当行の支店を置くことができない地域の方々にも、「道民のATM」を通じて、お客さまになっていただくことができます。
 さて、600台の設置を終えた今、私たちの課題は、更なる利用促進を図るための施策を打つことです。「『道民のATM』は北海道銀行のATMである」ということをもっと知っていただく必要があります。また、利用者の年齢層を分析すると、若年層への訴求が不足していることがわかりました。どのような形でプロモーションしていくのか、セイコーマートさんと話し合いながら知恵を絞っているところで、飽くなき挑戦が続いています。
 一方、エキサイティングなプロジェクトに参加することで、私自身の成長にもつながりました。私はどちらかというと、一人で仕事を抱え込む傾向があったのですが、このプロジェクトは一人で何もかもできるような規模ではありません。さまざまなメンバーに仕事を割り振り、チームとして仕事の成果を出していく。このプロジェクトのおかげで、そんな姿勢を身につけることができたのは、今後の私にとって大きな財産になったと思っています。